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MY NAME IS DREAMER
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↓の続きです。


プロットの様な拙い文です。
加地が可哀想なお話なのでご注意下さい。
 




 



 

 

「柚木・・・さん・・・。」


嗚咽に混じりながら、彼の名前がこぼれた。

「気持ち悪いね。」
眉をしかめながら即座に応えられた。

「・・・。」
なんてタイミングなのだろう。
今神様は誰かを思い切り踏みつけたい気分なのだろうか。
今の僕には最近のやり取りの様に、嫌味を込められ込められながらのギリギリの会話を成り立たせる余裕は無い。
それどころか、このみっともなく情けない醜態をこれでもかと既に晒してしまっている。
こんな状態の僕に、敢えて彼が声を掛けてくるなんて。
理由が見当たらず、疲弊した心はただただその不可解な状況に不安と心拍をあげていく。
あぁ、日野さんはいつもこんな心境だったのかな。
いつだって太陽の様に明るく強い彼女が脳裏に浮かぶ。
時々見せる、柚木さんへの親しみと呆れと怯えの含まれた表情の彼女を思い出す。

彼の外面以外のものに気がつく者はたいてい同類。
気がついたとして、自身に害が無いならただ関わらないようにするだけ。
同類以外でそれを知り彼の近くにいるは、きっと彼が心を許した者だけだろう。
火原さんや彼女、彼らは時々似たような表情を見せていた。

僕はその「例外」側でないというのに、彼のこちらの面を見て動揺が止まらないなんて、今自分がどれだけ弱っているのかを思い知らされた。
彼女の様に『どんな意地悪を言われからかわれるのか』ではなく、『何を言われるのか』。
正しくは『何を聞かれるのか』を。

きっと、彼は確実に知っている。

僕の気持ちも。
月森の気持ちも。
土浦の気持ちも。
そして僕がここに居るわけも。

ここから立ち去ろうとこの場を流す気の利いた言葉も、ただ走り出す元気も搾り出せない。
手に握ったままの箱に力が篭る。
 

べこっ。
 

緊迫した空気に不似合いな音が鳴る。
あぁ・・・すべの元凶がこれに思えてならない。
そんな八つ当たりな気持ちに箱に更に力を込める。


ぐぐっ。
 

角が潰れていく鈍い音がする。
こんな時にでも性能だけが良い耳は、明瞭に音を拾う。
この箱は今の僕の気持ちみたいだ。

軋んで、歪んで、潰れて、

 

消えてしまえばいい。

 

 


無意識に手が動いた。


川へと向かって。

 


 

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