MY NAME IS DREAMER
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ずっと前の妄想話に、「需要あるよ!」って言って頂いていたので続きを書いて見ました。
長いこと寝かせてしまってすみませんでした(>_<)
ちょっとずつ続きUPしていきます。
出したり引っ込めたりほんとすみません(^_^;)
漫画にするには長く、文意しては拙く短いですが、脳内補完して雰囲気だけ汲み取っていただけると幸いです。
プロットの様な物です。
こんな感じに頭の中でお話を妄想して、ネーム無しで下書を始めるのが私の漫画の描き方なので分かり辛いかもです、ごめんなさい。
文字書きさんも漫画描きさんも本当にすごいですよね・・・!改めて尊敬です。
まるで8年後のかわいそうな加地への前奏曲のようです。加地が可哀想なお話なのでご注意下さい。
取りあえず前回の分をUP。
書き加えられた続きの始まりは5からです。
今度こそ完走したい・・・!!
「投げ込もうと思ったんです。」
そう言うと、夕日が反射する水面へ視線を移し彼は目を伏せた。
『嫌な奴』
普通の学生生活を送っていれば、一人や二人そう思う人物が居てもおかしくないだろう。
だが、俺にとってそんなことは有り得なかった。
例え意見が合わない相手だろうと、こちらが当たり障りのない笑顔を与えておけば、おのずと相手からも当たり障りのない態度が返ってくる。
学生同士の諍い如きに時間をとられるのは、実に下らない。そう思っていた。
だが、奴は現れた。
俺にとって、初めての『嫌な奴』。
『奇跡の音色』とやらを追いかけて、時期外れに転校までしてきた変人だ。
寄りにもよって、その相手が俺のお気に入りのおもちゃだというのだから、初めから気に喰わなかった。
そうして気がつけば、他の場所よりは居心地の良かった奴らの輪の中に溶け込んでいるし、終いには俺に喧嘩を吹っかけてきた。
あぁ、思い返すだけでイラついた感情が口から出て来てしまいそうだ。
しかし音楽への道を断つことを辞めたのはその件も無関係ではないのだから、と今は一応、火原曰く『ナカナオリ』状態になったことになっている。
俺の社交場の以外の顔を知られたのだ。その方が面倒がないだろう。
・・・今日は少し疲れたからだろうか、あんな奴のことを思い出すとは。
柚木梓馬は迎えの車の中で、溜息を漏らした。
窓からは夕焼け空の朱色が差し込んでくる。橙色と混じり眩しいほどだった。
ふと隣の座席に置かれた大きな紙袋に目を遣る。
今日は『ホワイトデー』だった。
「面白い習慣だよな。」
一人小さくごちる。
バレンタインデーにも沢山のプレゼントを貰うが、1対多、いちいち返すのにはとてもじゃないが面倒だ。そこで『親衛隊』の彼女らが取り仕切り、お返しは無し、と取り決めてくれたのだ。普段は少々面倒だが、こういう時は役に立ってくれるので助かる。
・・・が、『お返しがない』→『見返りを期待しない想いだけならOK』→『ならばホワイトデーにも』という不思議な発想をした一部の女生徒から、こうしてホワイトデーも贈り物を貰った次第だ。・・・一部「憧れです!!」と男子生徒から渡された分も含まれているのだが・・・。
そこでふと、先程思い返していた『嫌な奴』の顔が再び過ぎった。
そいうえば、アイツも上機嫌で登校していた。イベント好きな奴のことだ、また手作りか何かを用意してきて渡そうとしていたんだろう。あぁ、やはり奴のことを考えると眉間に皺がよってしまう。渡されたであろう『彼』を思うと気の毒だ。
奴は好意を隠しもしないので、思いを寄せる相手はすぐ分かった。
『月森 蓮』
日野を追いかけてきた位だ、彼女に好意を寄せているのだとばかり思っていたので初めこそ驚いたが、奴が音フェチならまぁ、妥当な矛先だったのだろう。以前から一方的に知っていた、という話も耳にした。
変な奴だとは思っていたが、同性相手に恋をするとは滑稽、不快、を遥かに通り過ぎ感心してしまった。「行き着くところまで行ったな」という感心。
だが、またその相手も好意を隠せない性分らしい。
いや、隠してはいるのだろう。だが普段人付き合いが淡白な分、気が付く人は気がついてしまう。
相手は奴ではなかった。