MY NAME IS DREAMER
|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
↓の続きです。
例によってプロットのような拙い文です。
そして加地が可哀想なお話です。ご注意下さい。
陽が傾き、赤色が強くなってきた水面を見つめていた。
彼の明るい黄色の髪が、強い夕日に照らされ橙に色を変えている。
橋の上からぼんやりと、今日のことを思い出していた。
・・・分かっていたことでも・・・堪えるなぁ。
それは今日の放課後だった。
ホワイトデーのこの日、加地はいつも以上に気合を入れてプレゼントを用意していた。
彼の人生初の手作りクッキー。
1週間前から最高の材料集めを始め準備をしていた。放課後、意中の相手の練習を聞きたいという欲望を押し込め、遠方の養鶏場にまで卵を買いに行くという拘りようだ。
最高の材料を詰め込んでも込めきれない、愛しい彼への想いも詰め込んで焼き上げた。
少しでもこの想いが伝わればいい、あなたの笑顔があなたの全てが僕を幸せにしてくれる、そんな溢れて止まない恋心を。
プライドが高いのに何故か妙な所で自己評価の低い彼に、あなたの存在がどんなに尊くて美しくて愛おしく惹かれずにはいられない程、自分にとってはどんなにも幸福なものであるのかを少しでも伝わるといい。あなたが僕の幸せなんです、そんな想いを。
材料がある限り何度も焼き、その中でも1番!と思える出来のものを厳選してラッピングをしてきた。
市販品とはいかずともそれなりの味に出来上がり、安堵したのはもう明け方近くだった。
寝不足な頭ではまともに彼とは話せない!と足りない分の睡眠も昼休みから5時限にかけて保健室で補った。
放課後の彼の居場所も前日に聞いておき、練習を聞きに行ってもいいかと承諾も取ってある。
完璧だ。
ラッピングされた小箱を持つ手が緊張に震える。駆け出す心音を少しでも落ち着けようと、始めに掛ける言葉も、伝える言葉も、全てもう一度頭の中でシュミレーションをする。
大丈夫。よし。準備は完璧。
完璧だった。
彼がいる練習室の扉を開けるまでは。
練習室の中には彼がいた。
そしてもうひとり。
************
今日あと2回ほどUP予定です。
いつも見てくださる皆様にホワイトデーのつもりで書いていたのですが、加地がかわいそうなので喜んでもらえる贈り物にならない罠。
すみません。コルダ3が盛り上がってる所、盛大なKYで申し訳ない。
一言感想頂けると嬉しいです。
このおはなし終わったら新しいお礼絵描きたい!